デニムジャケットって難しい?
デニムというとジーンズが一番初めに思い浮かびますが、デニムとは生地の名前ということを何度も言っております。
デニム生地を使い様々な製品が作られておりますが、ジーンズと双璧をなすものと言えばジャケットですね。
その中でも、最もポピュラーなものがGジャンでないでしょうか。
ジージャン(Gジャン)とは、ジーンズと同じデニム(ジーン)生地で作られたジャンパー、ジャケットのことを指します。
英語では通常ジーンジャケット (jean jacket) ですが、日本では和製英語ジーンジャンパー (jean jumper) の略称が定着しました。
Gジャンの歴史も長く、ジーンズの誕生の後を追って1880年代頃にはデニム製のジャケットが作られていたと言われています。
当時はデニムジャケットは、リベティッド・ブラウス(Rivetted Blouse)と呼ばれていました。ブラウス(blouse)はフランス語のブルゾン(blouson)が語源です。ジーンズと同様にリベットが使用されているのが特徴で名前もリベットが付いたブラウスの意味となります。
私たちが知るGジャンの形に1920年代頃から。
当時の人達はジーンズとセットアップでGジャンを着て、労働をしていました。
ジーンズと同じく戦後の1950年代中頃までは労働着としての需要がほとんどでしたが、アメリカの高度成長とジーンズの世界的な普及に合わせて、1950年代後半からファッションアイテムとしての需要が高まっていきます。
1940年代までのGジャン(通称ファーストと呼ばれる形)の労働着として一面が垣間見えるディティールとして面白いものがあります。
ジャケットの袖のボタンの取り付け位置が近代から現代の一般的なシャツやジャッケットとは逆に付いておりました。
これは使用用途が肉体労働向けで、機能、安全面を考慮していたためではないかと仮定ができます。
探鉱等でバケツを持ったり、土砂や荷物を上げたり下ろしたりする動作、腕を内側に向けて動かしたりする時に袖口が引っかかるリスクを抑えるために袖口が通常とは逆の合わせなっていたのではないでしょうか。
腕の動きや角度にもよりますが、作業をする上で袖口の継ぎ(合わせ)目が引っかかりにくいのは、恐らく現代のデニムジャケットの袖の合わせよりも、1940年代までのデニムジャケット袖付けだと思います。よく考えられておりますね。
このあと、Gジャンも時代の流れとともにデザイン性の高いものが作られていきます。現代ではデニム生地を使ったファッションアイテムの代表格となっておりますね。
もう一つ、Gジャンと並びデニム生地で作られた王道的なジャケットとして、カバーオール(coverall)というものがあります。
カバーオールは本来トップスとボトムスが繋がった、つなぎのような形の衣服を指します。しかし、現代の日本ではGジャンよりも着丈が長いジャケット丈のワークウェアを指して使われることが一般的です。
当時では主に、鉄道関係に携わる作業員や、食品関係、軍に関する作業服として着られることが多く、ビンテージ市場でも人気の高いジャケットです。
こちらも作業服としての強度が求められたものなので、デニム生地やヒッコリーなどの厚手の生地が使われたものが多く、Gジャンに比べると丈が長く、ゆったりとしたシルエットのものが多いです。また、使われる職業に応じて、ポケットなどの作りが変るのも大きな特徴です。
カバーオールはワーク色が強くなりますが、昨今はデザインされたものも増えているので、様々な所でカバーオールを目にしているかもしれませんね。
デニムジャケットの大きな分類として、Gジャンはショート丈、カバーオールはロング丈となります。着方に合わせて使い分けるのがオススメです。
元々どちらも作業着なので、ジーンズやワークパンツとデニムのセットアップで着用されておりました。現代でもファッションのトレンドの中で、セットアップが一般化しておりますが、デニム生地のアイテムを上下揃いで着るのは、少し難度が高くなると思われている方も多いようです。
ジーンズの普及率に比べるとデニムジャケットはまだまだ多くはない気がします。しかし、ジャケットも色落ちが楽しめ、普遍的なアイテムなので長く着ることができます。
ジャケットは使い方次第で、様々なスタイルやコーディネートで楽しめます。
自分の好みに合う形はどのようなものか、どのようなサイズ感を選ぶのか、まずは知ることが第一ですね。
野暮ったくならない着方については、また別の機会に。