あなたはボタンフライ派?ジッパーフライ派??
ジーンズを購入する時や、実際にはく時に気になるところは、人それぞれ違うと思います。
その中でも、フロントフライ(ズボンの前開き部分)がボタンか、ジッパー(ファスナー、チャック)のどちらであるかが重要という方も多くいるのではないでしょうか。
ここではボタンフライとジッパーフライについて説明します。
目次
○ボタンフライ、ジッパーフライってどういうこと?
○なぜ、ボタンフライ•ジッパーフライが生まれたのか
○ボタンフライの良い点•悪い点、ジッパーフライの良い点•悪い点
○ボタンフライ、ジッパーフライってどういうこと?
ボタンフライ、ジッパーフライという言葉に、聞きなじみがない方もいるかもしれません。
ジーンズに限らず、ズボンの前開きとなる部分をフライ(比翼)と呼びます。
なぜ、「フライ(比翼)」と呼ぶのかというと、前開きとなる部分が比翼仕立てという仕立て方になっているからです。
比翼仕立てとは、表からボタン穴やボタンが見えないように、ボタン留めの部分を二重合わせにしたものです。
鳥が翼を休める形に似ていることからこう呼ばれ、レインコートなどでよく見られます。
ズボンの歴史において、16世紀末には前面が比翼仕立てになっていたといわれおり、以後、現在でもズボン全般に使われている形状です。
このようにズボンの前開きとなるフライ部分がボタンで留められているものを、「ボタンフライ」と呼び、ジッパーで留められているものを「ジッパーフライ」と呼びます。
○なぜ、ボタンフライ•ジッパーフライが生まれたのか
ではなぜ、ジーンズのフライ部分にボタンとジッパーの2種類があるのでしょうか。
これには、ジーンズや産業の歴史が大きく関わってきます。
ジーンズが誕生したのが1870年代。この頃は、まだジッパー自体が存在しておりませんでした。必然的にジーンズのフライ部分はボタンになります。
これまで「ジッパー」という名称でお話をしてきましたが、皆さんはどのように呼んでいますか?
「ファスナー」や「チャック」という呼び名もあります。
調べていくと一般的には「ファスナー」が多く使われています。
ファスナーの起源は1891年に遡り、米国で靴ヒモを結ぶ不便さを解決しようとして考案されたものです。
ファスナーの呼び方は、国によって変わります。
スライドファスナー(Slide Fastener)
通常、私たちが呼んでいるファスナーという言葉は、英語ではスライドファスナーと呼ばれ、「滑り式留金具」という意味です。英国をはじめ広く世界で使用されています。
ジッパー(Zipper)またはジップファスナー(Zip Fastener)
1921年に米国のメーカーが、閉める時の「シューッ」という擬音の「Zip」にer(物)をつけてZipperとして命名をしました。それがアメリカをはじめ広く世界に浸透しました。
チャック(Chack)
チャック(Chack)は、1927年に尾道で「巾着(きんちゃく)」からもじって、ファスナーを「チャック印」として販売したところ評判になり、「チャック」という名前が定着しました。
英語のチャック(Chuck)とは関係がありません。ファスナーをチャックと呼ぶのは日本だけです。
このように同じものですが、国によって呼び名が変わります。ジーンズはアメリカ発祥ですからジッパーと呼ぶのが正解かもしれませんね。
そんなジッパーが初めてジーンズに付いたのは1920年代の後半です。
取り付けを可能にしたもう一つの要因として、サンフォライズド加工というデニム生地の防縮加工の誕生があります。
この防縮加工が開発される前のジーンズは、生機のデニムだったので洗うと2~3インチ(5cm
から8cm)程度も縮みます。そのため噛み合わせが狂ったり、壊れたりしてジッパーを使うことができませんでした。
ジッパーの発明と、生地加工の技術の進歩がジッパーフライの誕生の裏にあります。
○ボタンフライの良い点•悪い点、ジッパーフライの良い点•悪い点
現代でもボタンフライ、ジッパーフライの2種類がジーンズに使われています。
それぞれに良い点、悪い点がありますので、その部分を見ていきましょう。
ボタンフライの良い点
•デザイン性
ボタンフライのジーンズは古い年代のデザインであることが多いです。
そのようなデザインやディテールのジーンズはボタンであることが必須です。
•フロント部のシルエットが奇麗
ボタンフライはボタンの間隔や、ボタンの穴のゆとりがあるので、体型や動きに合わせてある程度の変化が可能です。そのため、はく人にあった奇麗なシルエットになります。
•強度がある
ボタンは一度打ち付けてしまえば、周りの生地が破れない限り、壊れるということがありません。これはジッパーにはない強みの一つです。
•生機のデニム生地で製作できる
これは一部のジーンズ愛好家に寄った話になりますが、先述した通り、生機のデニムは良く縮みます。ジッパーでは、縮みに対応できないことが多いので、ボタンフライが使用されます。
ボタンフライの悪い点
•ボタンフライの悪い点の代表格は、開閉がジッパーと比べてやりずらい点です。 ジッパーは上下を一つの動作ですることができますが、ボタンは1つ1つ外したり、はめたりしないといけません。ボタンフライに馴染みのない方は、この動作がネックになることが多いようです。
ジッパーフライの良い点
•ジッパーフライの最大の利点は、何より開閉のやり易さにあります。
ボタンフライとは対照的に1つの動作で開閉が行なえます。特に男性は、トップボタンを閉めたままでも開閉ができるので、小用のときに便利です。
ジッパーフライの悪い点
•壊れる可能性がある
ジッパーは金属でできておりますので、度重なる開閉の動作で摩耗したり、スライダーと呼ばれ る引き手部分が、壊れてしまうこともあります。ボタンと比べると、その点で強度は下がるといえます。
•防縮加工の生地に限られる
金属であるジッパーは洗濯などで縮むことがありません。防縮加工のかかったデニム生地で製作をしないと壊れる可能性がありますので、使えるデニム生地に少し制限がかかります。
しかし、現在、ジーンズに使用されているデニム生地の約90%は防縮加工がかかったものなので、そこまで大きなデメリットとは言えないかもしれません。
ボタンフライも、ジッパーフライも、それぞれの長所短所をしっかりと理解してジーンズをはくことで、自分に合ったジーンズが見つかると思います。
どちらも実際にはいて比べることで、その長所や短所を知っていただけたらと思います。